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2017-07

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縁側の君。 - 2008.07.08 Tue

 夕方になってやっと涼しくなり、その風を感じた瞬間に、タイミングよく彼女はビールと枝豆を持ってきた。縁側に足を下ろしていたボクは彼女の「一杯やりますか」の声に体を声のする方へ向けてあぐらをかいた。紫の空に虫の声が響く。
 彼女はボクの隣に座り、ビンビールの栓を片目をつぶって開けた。シュポンといういい音が鳴る。開いたビールを持ち、ボクは彼女のコップにビールを注いだ。段々とコップに一杯になるビールを彼女は沸き立つ笑顔で見つめている。今度はボクのコップにビールがつがれる。きっと彼女と同じ顔をしていたに違いない。軽くグラスを合わせ一口。昼の暑さを覚えていた体は一気に解きほぐされていくのがわかった。枝豆の緑の鮮やかさが、夜の訪れとともに不思議に変化していく。

 枝豆をほおばった彼女が急に首をかしげた。

 「塩気、足りなかったね」

 ボクは丁度よく感じていたので「そんなことないよ」と返すと、「私は高血圧になるタイプだわ」と笑って空を見上げた。もうすっかり日も暮れた。

 ボクが彼女に空の一番星を教えてあげようと必死で空を眺めていると、ほのかに蚊取り線香の香りがした。「蚊に刺されちゃうわ」と彼女がボクが夢中になって空を見上げている隙に蚊取り線香に火をつけていた。そして傍らに置いたマッチを再びつけて煙草を吹かす。「私、肺ガンにもなるかもね」彼女は言った。「出来れば長生きしてよ」ボクがそう言うと「あら、私が早く死んだほうが、きっと人生楽しめるわよ」と再び笑って言った。その言葉が本気なのかどうなのか、ボクにはわからない。けどこの風景を、お互い年をとっても、毎年楽しめますようにと、いつの間にかたくさん現れた星に祈ってしまった。




 なんてね。ふふ。


 今日も暑かったので、涼しい風景を思い浮かべてみました。
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